ヤイチロ童話11
- 2020/12/14
- 07:12

むかーしむかし、森の中を、芋焼酎の池の神アイボウがさまよっておった。悪い魔法使いの呪文によって芋焼酎の池が干上がってしまったので、晩酌のできる店を探し歩いていたのである。進むうち、木々は次第に生い茂り、山深くなってゆく。…と、そこへ、看板が出ているのを見つけた。山犬軒?どこかで似た名前を聞いたことがあるなぁ。芋焼酎を飲んでいないので、脳ミソがよく働いたアイボウは、思い出した。そうだ!山猫軒だ!「注...
ヤイチロ童話10
- 2019/06/20
- 06:10

むかーしむかし、あるところに、小さな犬と芋焼酎の池の神がいた。その暮らしぶりは、働けど働けど猶わが生活(くらし)楽にならざり…ぢっと肉球を見る…というような貧しいものであった。犬と芋焼酎の池の神が貧困にあえいでいると、どこからか魔法使いが現れた。そして、こう言った。「しょーがねぇな。三つだけ、願い事をきいてやろう。三つだけだぞ!何を願うか、よーく考えてから決めろよ」犬と芋焼酎の池の神は、さっそく願い...
ヤイチロ童話9
- 2019/03/07
- 07:10

むかーしむかし、あるところにヤイ島太郎という漁師がおった。海の男ばい。ある日、浜を歩いていると、子どもたちがわぁわぁと騒いでいる。なんと絶滅危惧種の亀をいじめているのである。心やさしいヤイ島太郎は、子どもたちを諭し、持ち金すべてを投げ打って、亀を助けてやった。すると、亀が「どうもありがとう。きっとWWFからも感謝状が来るとは思いますが、ワタクシもぜひお礼がしたい!」と言う。「いやいや、たいしたこつ...
ヤイチロ童話8
- 2018/12/13
- 06:44

むかーし、あるところに3人の息子を持つ貧しい粉引きがいた。粉引きが死ぬと、長男は粉引き小屋を、次男はロバを残された。しかし、三男には、小さな犬一匹だけ。こんな小さな犬一匹もらってもなぁ…。これからどうやって暮らしていこう。…と三男が芋焼酎を飲みながら途方に暮れていると、小さな犬がこう言った。「あんね、オレに長パンツば用意してはいよ!オレば貰うて良かったて思うはずばい!」「長靴じゃなくて?袋はいらんと...
ヤイチロ童話7
- 2018/11/26
- 06:55

むかーしむかし、あるところに、白ヤイ姫という犬がいた。雪の様に白い肌でもなく、桃色のほっぺでもなく、艶やかな黒髪でもなく、薄汚れた薄毛の犬であった。趣味は風船狩り♡その上、継母は魔法酒の調合に忙しく、「鏡よ鏡、世界で一番うつくしいのは誰だい?」と訊ねるようなヒマはなかった。そもそも最後に鏡を見たのは、何年前だかわからないくらいなのである。そんなわけで、白ヤイ姫は平穏な日々を過ごしておったのだが、あ...